第150章 そんなに私に会いたくないのか

「断って。それからしばらくはマンションに籠もって、どこにも行かないで」

中尾美希はそう言い切ると、電話を切った。冷えた表情のまま窓辺へ歩き、少し先に見える中野グループビルを睨む。瞳の奥は、どんよりと濁っていた。

海外へ出ると言い出した時点で、中野航平が高い確率で自分に監視を付けるだろうことは想像していた。けれど、いざそれが「事実」だと確かめた瞬間、胸の底から不快感が噴き上がる。

――中野航平。あなたは私のことを、欠片ほども信じていないの?

……いいわ。

そうなら、こちらも罪悪感なんて抱かなくて済む。

美希は振り返り、いま借りている1LDKのありふれたマンションを見回した。露骨な嫌...

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